『中国でのビジネス』

前回に続けます。

前回は、工場運営の胆は後任育成と言う話でした。
そして、その為にはメンバーにどうなって欲しいか?
そういった事を真剣に考えて、指導に当たる事が重要。
それが、結局のところ適材適所の人事にも通じる。
こんな内容でした。

会社ってトップ次第で随分変わってしまうものです。
そして、部下も上司次第で結構変わっちゃうんです。
しかも、部下は上司を選べないわけなので、
上司の部下に対する責任って言うのは大きいわけです。

でも、大体の上司はそこを理解できないように思います。
出世したのは自分の能力が高かったからとか、
一生懸命やったから出世できたみたいに思ってしまい、
自分のやり方を完全肯定し考え方の押し付けをしてしまいます。

まぁ、そういった方がぼやくときに使う言葉が、
『部下の能力が無い!』
というやつですね。

私から言わせれば、
『部下の能力が低いのは上司の能力が低いから!』
であると思います。

世の中の殆どの仕事で出来ない事ってあまりないと思います。
だって、人間の能力なんてそうそう変わるものであるはずないので。
だとすると、結果を出せない人には何か問題があるんです。
その問題を克服する事が出来れば、能力は勝手に上がっていくのです。

例えば、
人より多くをやるように心がけるとか、
全ては他人事と思わず我が事として捉えて努力するとか、
自分が出来る事をもったいぶらずやり抜くとか、
そんな良質の基本姿勢をもって取り組むと結果がついてきます。

で、そういった基本姿勢って言うのは、
模範的行動を上司が取っていると部下もそうなっていくんです。
それが企業文化に繋がっていくのかと思います。

しかも面白い事も起こるもので、
時に、そういった素晴らしい上司の部下が不思議な不満を持つことが。
他の部門のトップの基本姿勢があまりよろしくない時に起こりますが、
何でウチの大将は貧乏くじばかりひかされるのだ!
なんて妙な憤りを感じてくれちゃったりするんです。

これって、中国でいう所の『自己人』として認めてくれたって事。
自己人とは、身内って言う事で、
そこには信頼関係が出来上がっているって言う事でもあります。

因みに自己人(身内)の反対は敵です(汗)

こんな風に思ってもらえた時は、上司冥利に尽きるってもんで、
この信頼関係を裏切らないように上司はもっと出世せねばなりません。
そして、そういう素晴らしい部下を更に育て、引き上げるのです。

ですから、後任育成の鍵は『自己人』と認められるような行動。
ここ中国では、こんな風に言っても良いかもしれません。

そしてこれは、部下におべっかを使うような形では醸成できず、
良質の基本姿勢でもって模範行動をしっかり貫いた上で成り立ちます。

因みに、『自己人』だと思って憤ってくれたメンバーには、
『損して得取れ』だよって教えてあげます。
貧乏くじをひかされて損をするように見えるけど、
実は長い人生のスパンでは得していると諭すわけです。
でもって、そう思ってもらえて有り難いと素直に感謝するのです。

そういった日々の積み重ねが段々と部下を変えていく事になり、
そして、自身を変えていく事になり、
いかなる状況下でも結果を叩き出せる能力を身に着けていけるのです。

長くなったので次回につなげます。