『カルチャーショックの背景』

『カルチャーショックの背景』

前に、中国は法治国家ではなく人治国家と書きました。
そして、それは、信頼関係の欠如が少なからず起因すると。

今回は、その内容について、少し深堀したいと思います。

日本では常識となる事でも、
海外では非常識と言う事があります。

まぁ、迷惑をかけないレベルであれば、
基本、それぞれの常識範疇で生きてもらってOKかと。

そういう意味では、日本人の大多数は、
海外で恥じる事無く生きれます。

とは言え、勘違いして偉そうにしている人や、
アウェイと言う事を忘れ、横柄な態度の人もいます。
が、そこまで多くは無いかと。

しかしながら、中国では、往々にして、迷惑な行動を見かけます。
まぁ、代表的なのが列に並ばないというのが有名でしょうか?

これは、冒頭に書いたように、少なからず信頼関係の欠如が原因です。
この事に気付いた時、巡り合った全てのカルチャーショックの謎が解け、
何故か分からないのですが、受入れられるような気持になったのです。

詳しくどういう事かを説明すると、
中国と言う国は、とても貧しい時期を過ごした時代がありました。

日本の江戸時代の鎖国に近いような政策や
民主主義圏vs共産主義圏という覇権をかけた争い
文化を否定するような国家指導、などなど

こんなで、国が疲弊しまくってたんですね。
そんな中、物不足という状況が慢性化していたんですね。
だって、80年代当初は配給制がまだあったりします。

すると、どういう事が起きるか?
需要と供給の力学によって、供給側の立場が強くなります。
売り手の立場が非常に高い状況が生まれます。

ここ最近はあまり見かけなくなりましたが、
釣銭を投げて返して来たり、
異様なほどに横柄な態度の店員が居たり、
そんな光景を目にした事のある方も多いのではないでしょうか?
まさに、売ってやっているんだぞ!みたいな態度!!
これは、その時代の名残であるとも言えるかも知れませんね。

しかも、物の絶対量は不足していますので、
例えお金があったとしても、必要な物が手に入る保証はなく、
すると、何らかの方法で物を得ようと企む輩が出たり、
他人の事など構うことなく、自分だけ良ければよし!
そんな考え方を持つ人が出てくるのは当然の話です。

すると、列に並んでも手に入る保証がどこにもないならば、
恥も外聞もなく、横入り、裏から手を回し目的物Get!
これらの考え方が当たり前化してしまうのも無理ないわけです。

むしろ、真面目に列に並んでいる事は、馬鹿のする事的な、
そんな考え方がスタンダード化されてしまうわけです。
手段を選ばず目的を達成するのが当たり前という考え方です。

逆に、ある種の逞しささえ感じてしまいます。
誰も信用せず、依存せずに、自己責任で生きていますので!

また一方、物を持っている者がどんどん力を増していきます。
言い換えると、権限を持った者の力が増大し続ける事になるのです。

そんな力を持った者も、困った状況に追い込まれるのです。
大きな力を持つのは、許認可を与える権限を持つ者ですが、
そもそも、裏で手を回したり、非正規的手段横行している状況下で、
その権限を行使したり、許認可を与えたりする場合、
例え、それが正規の申し入れであったとしても、
見ず知らずの者には、怖くてその権限を行使できないのです。
信頼できそうな案件にしか許認可を与えないという具合です。

で、一番信頼できるのは、血の繋がり。
だから、自分の親戚間で権益を享受するようになりやすいのです。

これが、口利きというような現象を生む一要因になっていきます。
誰か信用のおける者や、更に大きな権限を持っている者、
いわば責任を取ってくれるような者の紹介が無いと、
怖くて権限行使もしたくない。
許認可を与えなくても、別にお腹は痛まないので放っておかれる。
これが、口添えが無いとなかなか許認可をもらえない状況に繋がります。

むしろ、口添えがあったのに許認可を出さないようなものならば、
口添え人の信用を裏切る事となり、干されてしまう恐怖もあります。
だから、口添えがあるとすぐに許認可が貰えちゃったりします。

しかし、世の中が大きくなるにつれだんだん収拾がつかなくなります。
そうすると、石橋を叩いて壊すぐらい慎重に審査を進める方向になり、
結果、様々な資料の提出が求められ、
一つでも揃わないと許認可を与えないと言う事となります。

これが、現状の許認可へ影響を与えているとも言えるわけです。
ビザ申請を通して味わった面倒くささの根底にあるものかと。

信頼関係の欠如と責任回避が相俟って
様々な面倒くささへ発展するわけです。

こんな風に背景を理解してみると、腹も立たなくなるわけです。
むしろ、郷に入れば郷に従え的考え方で頑張る逞しさも時には必要!
そんな風に思ってしまうわけですね。

とは言え、他人に迷惑をかけない範疇でっていう縛りは、
自己規制(最後の砦?)として設けておきたいと思うわけです。

と言う事で、かなり深い話を簡単に書いてしまいましたが、
中国での様々なカルチャーショックの背景についてでした。

勿論、この内容は、ある一面から切り取った内容に過ぎず、
もっと沢山の要因が複雑に絡み合って今の中国があるわけです。
この内容は、一つの参考となれば!と、思います。


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編集後記

突如の豪雨です。
食堂が別棟なのですが、傘をさしても
そこまで辿り着く頃にはびしょ濡れ。
そんなレベルでした。

で、裏口から雨に濡れる区間を最小化!
うまい事辿り着けました。

それにしても、この夕立?スコール?は面倒ですね。
ほぼ毎日どこかの時間帯で雨が降ります。
今の持ち物で必ず準備するのは傘だったりします。

逆に、傘を持たずに出かけるのは、冒険する感じです。
一種の賭けですね。
降らない方に賭けて手ぶらで出かけるのです。

今のところ勝率は8割という所でしょうか?(笑)

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